築20年を迎えると、住宅のさまざまな場所に劣化のサインが見え始める。「そろそろリフォームが必要かも」と感じつつも、「どこから手をつければいいのかわからない」「全部やると高額になりそうで不安」と悩む方は少なくない。
実は、築20年のリフォームにはやるべき工事の優先順位がある。すべてを一度にやる必要はなく、建物を守るために重要な箇所から計画的に進めるのが賢い方法だ。この記事では、築20年の住宅で優先すべきリフォームの内容と、それぞれの費用の目安を詳しく解説していく。

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築20年でリフォームが必要になる理由
住宅の各部位には耐用年数があり、築20年前後で多くの設備や外装が寿命を迎える。放置すると建物の構造に影響が出たり、修繕費用が膨らんだりするリスクがある。
外装の防水性能が低下する
外壁塗装の耐用年数は一般的に10〜15年程度。築20年の時点で塗り替えをしていなければ、防水性能はかなり低下しているはずだ。放置すると雨水が浸入し、構造材の腐食やシロアリ被害につながるため、早めの対応が求められる。
設備機器が寿命を迎える
給湯器の寿命は約10〜15年、キッチンや浴室などの水回り設備も15〜20年が交換の目安とされている。故障してからの交換は生活に支障をきたすため、寿命が近づいたタイミングでの計画的な交換がおすすめだ。
配管の劣化が進む
給排水管は素材にもよるが、20〜30年で劣化が進む。水漏れや排水の詰まりが起きる前に、点検と必要に応じた交換を検討しておきたい。
築20年のリフォーム優先順位
限られた予算の中で最大限の効果を得るために、建物の構造と安全性に関わる工事を優先し、見た目の改善は後回しにするのが基本的な考え方だ。以下の優先順位を参考にしてほしい。
【優先順位1】外壁・屋根の塗装と補修
建物を雨風から守る外装のメンテナンスは最優先事項。外壁のひび割れ(クラック)やコーキングの劣化は、雨漏りの原因になる。
- 外壁塗装:80万〜150万円程度(30坪の場合)
- 屋根塗装:30万〜80万円程度
- コーキング打ち替え:15万〜30万円程度
- ベランダ防水:8万〜20万円程度
外壁と屋根を同時に施工すると、足場の設置費用(15万〜25万円程度)を1回で済ませられるため、トータルでお得になる。
足場が必要な高所は業者の領域だが、手の届く範囲の細いひび割れなら、市販のコーキング材で応急処置をしてから本工事を待つという方法もある。
【優先順位2】給湯器・水栓などの設備交換
築20年で新築当時のままの給湯器は、いつ故障してもおかしくない時期。突然お湯が出なくなる前に、計画的に交換しておくのが安心だ。
- 給湯器の交換:15万〜40万円程度(機種によって異なる)
- 水栓の交換:1万〜5万円程度(1カ所あたり)
- トイレの交換:15万〜40万円程度
【優先順位3】水回り設備のリフォーム
キッチン、浴室、洗面台は、築20年で機能面の劣化や見た目の古さが目立ち始める。生活の快適さに直結する部分なので、予算が許せば早めのリフォームを検討したい。
- キッチンリフォーム:90万〜150万円程度
- 浴室リフォーム:80万〜150万円程度
- 洗面台の交換:15万〜40万円程度
「本体はまだ使えるが水栓だけ古い」という場合は、水栓単体の交換で済むこともある。本格的なリフォームまでの中継ぎとして選ばれている方法だ。

【優先順位4】断熱・省エネ対策
築20年の住宅は、現行の省エネ基準と比べると断熱性能が劣っていることが多い。窓の交換や断熱材の追加は、光熱費の削減と快適性の向上の両方に効果がある。
- 内窓(二重窓)の設置:5万〜15万円程度(1カ所あたり)
- 壁・床・天井の断熱材追加:50万〜150万円程度
工事の順番待ちをしている間の対策としては、窓に貼る断熱シートや、サッシの隙間に貼るすきまテープといった手軽なアイテムもある。
断熱リフォームは補助金の対象になることが多い。先進的窓リノベ2026事業や住宅省エネ2026キャンペーンなどを活用すれば、費用負担を抑えられる可能性がある。
【優先順位5】内装のリフォーム
壁紙の張替えやフローリングの補修は、見た目をリフレッシュする効果が大きいが、建物の安全性には直接関わらないため優先順位は低め。予算に余裕がある場合や、他の工事と合わせて行う場合に検討するとよい。
- 壁紙張替え:6万〜15万円程度(6畳の場合)
- フローリング張替え:10万〜20万円程度(6畳の場合)
築20年の部分リフォーム費用の総額目安
上記の工事をどの範囲まで行うかによって、トータル費用は大きく変わる。
- 最低限のメンテナンス(外壁・屋根塗装+給湯器交換):100万〜200万円程度
- 水回りも含めた部分リフォーム:300万〜500万円程度
- 大規模リフォーム(水回り一式+外装+断熱+内装):500万〜1,000万円程度
- フルリフォーム:1,000万円以上
築20年のリフォームで使える補助金制度
築20年のリフォームでは、工事内容によってさまざまな補助金制度を活用できる。主な制度を確認しておこう。
- 先進的窓リノベ2026事業:内窓設置など窓の断熱改修が対象。補助額は工事内容によって異なる
- 給湯省エネ2026事業:エコキュートなど高効率給湯器の導入に補助金が出る
- 耐震改修に関する補助金:旧耐震基準(昭和56年以前)の住宅が対象。築20年の住宅は新耐震基準で建てられているため対象外の場合が多い
- 自治体独自の補助金:市区町村によっては独自のリフォーム補助金制度がある
補助金制度は予算に限りがあり、申請期限も決まっている。利用を検討する場合は早めに情報を集めて、申請のタイミングを逃さないよう注意しよう。
リフォームか建て替えか、判断の目安
築20年ならリフォームで十分に対応できるケースがほとんどだ。ただし、以下のような状況があれば、建て替えも選択肢に入れた方がよい場合がある。
- 基礎や柱に重大な損傷がある
- 間取りを大幅に変更したい
- リフォーム費用が建て替え費用の50〜70%を超える
- 耐震性に不安がある(旧耐震基準の場合)
築20年は新耐震基準(昭和56年以降)で建てられているため、構造に重大な問題がなければリフォームで対応できることが多い。まずは専門家による建物の状態チェック(ホームインスペクション)を受けてから判断するのがおすすめだ。

よくある質問
築20年でリフォームしたら、あと何年住めますか?
適切なリフォームを施せば、さらに20〜30年以上住み続けられることが多い。木造住宅の構造体自体は適切にメンテナンスすれば50年以上もつとされている。定期的なメンテナンスを続けることが、長く住むためのカギだ。
築20年のリフォームで住宅ローンは組めますか?
リフォーム専用ローンや、住宅ローンの借り換え時にリフォーム費用を上乗せする方法がある。金利や返済期間は金融機関によって異なるため、複数の金融機関を比較して検討するのがよい。
築20年の家で特に劣化しやすい場所はどこですか?
外壁のコーキング(目地材)、屋根の棟板金、ベランダの防水層、給湯器、水栓のパッキン、排水管の接合部など。これらは築15〜20年で寿命を迎えやすい箇所だ。特にコーキングの劣化は雨漏りに直結するため、ひび割れや痩せが見られたら早めに打ち替えを検討しよう。
リフォームの見積もりは何社くらい取るべきですか?
3社以上から見積もりを取るのがおすすめだ。同じ工事内容でも業者によって数十万円の差が出ることがある。費用だけでなく、工事の内容や保証期間、担当者の対応なども比較して、総合的に判断しよう。
築20年のリフォームは何から相談すればいいですか?
まずはリフォーム会社に無料の現地調査を依頼するのがスムーズだ。プロの目で建物の状態を見てもらい、どの箇所にどれくらいの費用がかかるのか、見積もりを出してもらおう。外壁や屋根は外からでも劣化が確認できるため、まず外装の状態チェックから始めると効率的だ。複数の業者に見てもらうことで、適正な価格感もつかめるようになる。
築20年のリフォームで見落としがちなポイント
築20年のリフォームでは、目に見える劣化だけでなく、見えない部分の老朽化にも注意する必要がある。ここでは、見落としがちなポイントを紹介する。
シロアリの点検
木造住宅の場合、築20年で一度もシロアリ点検をしていないなら、早めに専門業者に調査を依頼しておきたい。シロアリ被害は放置すると構造体にダメージを与え、修繕費用が大幅に膨らむ原因になる。点検費用は無料〜1万円程度で実施してくれる業者が多い。
換気設備の劣化
浴室やキッチンの換気扇は、使用頻度が高いため20年で性能が落ちていることが多い。換気が不十分だとカビや結露の原因になるため、水回りのリフォームと合わせて交換を検討しよう。
交換までの間は、レンジフード用のフィルターを定期的に貼り替えて油汚れの蓄積を抑えておくと、掃除の手間が変わってくる。
電気容量の見直し
20年前の住宅は電気容量が現在の生活スタイルに合っていないことがある。家電の増加に伴いブレーカーが頻繁に落ちるようなら、分電盤の交換や電気容量のアップグレードも視野に入れておきたい。
まとめ
築20年のリフォームは、外壁・屋根の防水メンテナンスを最優先とし、次に給湯器などの設備交換、水回りのリフォームと進めるのが合理的な順序だ。すべてを一度にやる必要はなく、予算に応じて優先度の高い工事から段階的に進めていこう。
部分リフォームなら100万〜500万円程度、大規模リフォームなら500万〜1,000万円程度が目安。補助金制度も上手に活用して、費用負担を抑えながら快適な住まいを維持してほしい。
参考になる外部サイト:国土交通省 住宅リフォーム支援制度、リフォームガイド 築20年のリフォーム、住宅リフォーム推進協議会


