中古マンションを購入してリノベーションする「中古+リノベ」という選択肢が注目を集めています。新築マンションの価格高騰が続く中、費用を抑えながら理想の住まいを実現できる方法として、多くの方が検討を始めています。
中古マンション購入+リノベーションの総額は、同エリアの新築マンションの6〜7割程度に収まるのが一般的です。ただし、物件価格とリノベーション費用のバランスを間違えると、思ったよりお得にならないケースもあります。
この記事では、中古マンションリノベーションにかかる費用の全体像を、物件購入費・リノベーション工事費・諸費用に分けて徹底的に解説します。予算の立て方から資金計画の注意点まで網羅しているので、具体的な計画を立てる際の参考にしてください。

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中古マンションリノベーションの費用内訳
中古マンションリノベーションにかかる費用は、大きく3つに分けて考えます。それぞれの内訳を詳しく見ていきましょう。
1. 物件購入費
中古マンションの購入価格は、立地・築年数・広さ・階数・管理状態などによって大きく異なります。リノベーション前提で購入する場合は、内装のきれいさにこだわる必要がないため、同じ条件でも内装がきれいな物件より安く購入できる可能性があります。
首都圏の中古マンション価格の目安は以下のとおりです。
| エリア | 築10〜20年 | 築20〜30年 | 築30年以上 |
|---|---|---|---|
| 東京23区 | 4,000万〜7,000万円 | 3,000万〜5,500万円 | 2,000万〜4,000万円 |
| 東京都下・神奈川・千葉・埼玉 | 2,500万〜4,500万円 | 1,800万〜3,500万円 | 1,000万〜2,500万円 |
| 関西圏(大阪・兵庫・京都) | 2,000万〜4,000万円 | 1,500万〜3,000万円 | 800万〜2,000万円 |
2. リノベーション工事費
リノベーション工事費は、工事の範囲とグレードによって変動します。マンションの場合は専有部分のみが工事対象となるため、戸建てに比べると費用は抑えやすい傾向があります。
| リノベーションの種類 | 60㎡の場合 | 70㎡の場合 | 80㎡の場合 |
|---|---|---|---|
| 部分リノベ(水回り+内装) | 300万〜550万円 | 350万〜650万円 | 400万〜750万円 |
| 全面リニューアル(間取り変更あり) | 550万〜900万円 | 650万〜1,050万円 | 750万〜1,200万円 |
| フルリノベ(スケルトン) | 750万〜1,200万円 | 900万〜1,400万円 | 1,050万〜1,600万円 |
3. 諸費用
物件購入とリノベーションには、工事費以外にもさまざまな諸費用がかかります。諸費用の合計は物件購入価格の7〜10%程度が目安で、忘れがちなので事前にしっかり計算に入れておきましょう。
主な諸費用の内訳
- 不動産仲介手数料:物件価格×3%+6万円+消費税
- 登録免許税・司法書士報酬:20万〜40万円
- 不動産取得税:物件の評価額によって変動
- 住宅ローン関連費用(事務手数料・保証料):30万〜80万円
- 火災保険料:10万〜30万円(契約期間による)
- 引っ越し費用:10万〜30万円
- 仮住まい費用:30万〜80万円(フルリノベの場合)
- 設計費:工事費の5〜15%(設計事務所に依頼する場合)
予算別シミュレーション
具体的な予算別に、中古マンション購入+リノベーションの総額シミュレーションを見てみましょう。
総予算3,000万円の場合
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 中古マンション購入費 | 2,000万円 |
| リノベーション工事費(部分リノベ) | 500万円 |
| 諸費用(仲介手数料・税金・ローン関連等) | 300万円 |
| 予備費 | 200万円 |
| 合計 | 3,000万円 |
この予算帯では、郊外〜準都心エリアの築20〜30年のマンションを購入し、水回り交換+内装リフレッシュの部分リノベーションが現実的なプランです。
総予算4,500万円の場合
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 中古マンション購入費 | 2,800万円 |
| リノベーション工事費(フルリノベ) | 1,000万円 |
| 諸費用 | 400万円 |
| 予備費 | 300万円 |
| 合計 | 4,500万円 |
この予算帯は「中古+リノベ」の最もバランスが良い価格帯で、都心へのアクセスが良い準都心エリアの物件を購入し、フルリノベーションで新築同様の住まいを実現できます。同エリアの新築マンションが6,000万〜7,000万円であれば、2,000万円以上の差額が生まれます。
総予算6,000万円の場合
都心エリアの好立地物件を購入し、ハイグレードなフルリノベーションが可能な予算帯です。造作キッチンや無垢フローリングなどこだわりの素材を使い、設計事務所に依頼してデザイン性の高い空間を実現できます。同エリアの新築マンションが8,000万〜1億円以上するケースでは、大きなコストメリットが期待できます。

物件購入費とリノベ費用のバランスの決め方
「中古+リノベ」で最も悩むのが、物件購入費とリノベーション費用の配分です。このバランスを間違えると、「立地は良いけどリノベ費用が足りない」「リノベにお金をかけすぎて立地が妥協になった」という失敗につながります。
一般的な配分の目安
物件購入費とリノベーション費用の比率は「7:3」が一つの目安とされています。総予算4,500万円なら、物件に3,150万円、リノベに1,350万円(諸費用含む)といった配分です。ただし、これはあくまで目安であり、優先事項によって柔軟に調整してください。
立地重視の配分
住みたいエリアが明確で、立地を最優先にする場合は物件購入費の割合を高めに設定します。その分リノベーション費用を抑えるために、設備のグレードを調整したり、間取り変更を最小限にしたりする工夫が必要です。
こだわり重視の配分
インテリアや設備にこだわりたい場合は、リノベーション費用の割合を高めに設定します。その分、築年数が古い物件や駅から少し離れた物件を選ぶことで、物件購入費を抑えるという選択になります。
物件価格を抑えるために築年数が極端に古い物件を選ぶと、配管の全交換や断熱改修が必要になり、リノベーション費用が想定以上に膨らむことがあります。築年数と建物の状態のバランスを見極めることが大切です。
住宅ローンの組み方
中古マンション購入+リノベーションの資金調達方法として、住宅ローンの組み方が重要なポイントになります。
一体型ローン(物件+リノベ一括借入)
物件購入費とリノベーション費用をまとめて住宅ローンで借りる「一体型ローン」が最もおすすめです。住宅ローンの低い金利(年0.5〜1.5%程度)で全額を借りられるため、リフォームローン(年2〜5%)を別で組むよりも総返済額が大幅に安くなります。
一体型ローンに対応している金融機関は増えていますが、すべての銀行が対応しているわけではありません。リノベーション会社が提携している金融機関を紹介してもらうとスムーズに手続きが進みます。
住宅ローン+リフォームローンの併用
一体型ローンが利用できない場合は、物件購入に住宅ローン、リノベーション費用にリフォームローンをそれぞれ組む方法があります。ただし、リフォームローンは金利が高く借入期間も短い(最長15年程度)ため、月々の返済額が大きくなりやすい点に注意してください。
| ローンの種類 | 金利の目安 | 借入期間 | 対象費用 |
|---|---|---|---|
| 一体型住宅ローン | 年0.5〜1.5% | 最長35年 | 物件+リノベ費用 |
| 住宅ローン(物件のみ) | 年0.5〜1.5% | 最長35年 | 物件購入費のみ |
| リフォームローン | 年2〜5% | 最長15年 | リノベ費用のみ |
中古マンション選びのポイント(リノベ前提)
リノベーションを前提に中古マンションを選ぶ場合、通常の物件選びとは異なる視点が必要です。以下のポイントを確認しましょう。
構造の確認
間取り変更の自由度を決めるのがマンションの構造です。ラーメン構造(柱と梁で支える構造)であれば室内の壁のほとんどを撤去でき、間取り変更の自由度が高いです。壁式構造の場合は構造壁を撤去できないため、間取り変更に制約が出ます。
管理状態の確認
マンションの管理状態は資産価値に直結します。以下の3点を必ず確認しましょう。
- 修繕積立金の残高と長期修繕計画の有無
- 管理費・修繕積立金の滞納状況
- 過去の大規模修繕工事の実施履歴
- 管理組合の議事録(トラブルの有無)
配管の更新状況
築30年以上の物件では、配管の劣化が進んでいることが多いです。専有部分の配管は個人でリノベーション時に交換できますが、共用部分の配管(竪管)は管理組合の対応になります。共用部分の配管が老朽化している場合、将来的に大規模修繕で一斉交換が行われる可能性があり、修繕積立金の値上げにつながることがあります。
管理規約のリノベーション制限
マンションの管理規約には、リノベーション工事に関するさまざまな制限が記載されています。床材の遮音等級の指定(L-45以上など)、水回りの移動制限、工事可能時間帯の制限などがあるため、物件を購入する前に管理規約を取り寄せて確認することが必須です。

中古マンションリノベーションの費用を抑えるコツ
総額をできるだけ抑えるために、実践できるコツを紹介します。
築25〜35年の物件を狙う
マンションの価格は築20年を過ぎると下落が緩やかになり、築25〜35年あたりで底値に近づきます。この築年数帯の物件は、価格の安さとリノベーション費用のバランスが最も良い「コスパゾーン」です。旧耐震基準(1981年以前)の物件を避ければ、耐震面での不安も軽減できます。
設備グレードにメリハリをつける
すべての設備をハイグレードにすると費用が跳ね上がります。こだわりたい設備(たとえばキッチン)にはお金をかけ、それ以外はスタンダードグレードで十分と割り切ることで、全体のコストをコントロールできます。
補助金を活用する
省エネリフォームや窓の断熱改修に対する補助金制度を活用しましょう。国土交通省の住宅リフォーム支援制度では、利用可能な制度が確認できます。複数の補助金を併用できるケースもあるため、施工会社に相談してみてください。
一体型ローンで金利を抑える
前述のとおり、物件購入費とリノベーション費用を住宅ローンで一括借入する一体型ローンを利用すると、リフォームローンを別途組むよりも総返済額が大幅に抑えられます。フラット35リノベのように、リノベーション込みで利用できる住宅ローン商品もあるため、選択肢として検討してください。
費用を抑えることを最優先にして、配管の更新や断熱工事などの基本的な性能向上工事を省略するのは避けてください。入居後の快適性やメンテナンスコストに大きく影響します。
中古マンションリノベーションの費用に関するQ&A
Q. 中古マンション+リノベと新築マンション、どちらが得ですか?
A. 費用面では中古+リノベが有利で、同エリアの新築の6〜7割程度に収まるのが一般的です。ただし、追加費用のリスクや仮住まい費用を考慮すると差が縮まることもあります。立地の選択肢が広がるのは中古+リノベの大きなメリットです。
Q. リノベーション済みの中古マンションを買うのとどちらがいいですか?
A. リノベ済み物件は手間がかからず即入居できるメリットがありますが、間取りや素材を自分で選べません。自分でリノベーションすれば完全オーダーメイドの住まいが実現できます。ただし、打ち合わせや工事期間が必要になるため、時間的な余裕がない方にはリノベ済み物件が向いています。
Q. 諸費用を含めた総額はどのくらい見ておけばいいですか?
A. 物件購入費+リノベ費用に加えて、諸費用として物件価格の7〜10%程度を見込んでおきましょう。さらに追加工事に備えた予備費(リノベ費用の10〜15%)も確保しておくと安心です。
Q. 物件探しとリノベ会社選び、どちらを先にすべきですか?
A. リノベーション会社を先に選ぶことをおすすめします。物件探しの段階からリノベの専門家が同行することで、リノベに適した物件を見極められます。物件を買ってからリノベ会社に「この物件では希望の間取りにできない」と言われるリスクを防げます。
Q. 住宅ローン控除は使えますか?
A. 中古マンション購入+リノベーションでも住宅ローン控除は利用可能です。主な条件として、床面積が50㎡以上であること、リノベーション工事費が100万円以上であることなどがあります。控除額は借入残高の0.7%×13年が上限です。詳細は税務署に確認しましょう。


